コミックコーナーのモニュメント

「感想【ネタバレを含みます】」カテゴリーの記事はネタバレありの感想です。 「漫画紹介」カテゴリーの記事は、ネタバレなし、もしくはネタバレを最小限にした漫画を紹介する形のレビューとなっています。

3巻以内で完結の漫画

この愛は、異端。―ベリアル文書ー 感想

この愛は、異端。-ベリアル文書-【通常版】【電子限定おまけ付き】 (ヤングアニマルコミックス) 家族のような「無償の愛」を求める天涯孤独の娘・淑乃と、愛を否定する悪魔ベリアル(愛称はバアル)の拗れてもどかしい物語『この愛は、異端。』。 今回は、バ…

その日、少年が拾ったのは、とてもかわいい猫のような何か : 猫のようなナニカ レビュー

タイトル:猫のようなナニカ 作者:アヅミイノリ 年代:2020年~2021年 巻数:全2巻 あらすじ・概要 小学6年生の江巳安連夜(えみあれんや)。 ある雨の日に、彼が拾ったのは一匹の黒猫。 ではなくて、猫の様で猫じゃない謎の存在でした。 心優しい少年と、猫…

ビューティフルピープル・パーフェクトワールド1巻 感想

ビューティフルピープル・パーフェクトワールド(1) 高度な整形医療が当たり前になり、日常の風景の内、人間の美しさだけが大きく変わった社会で、それでも変わらない人間の歪さと、生きるということについて回る心の重みを描く、「ビューティフルピープル…

シャボンと猫売り3巻 感想

シャボンと猫売り 3巻 〔完〕 (ガムコミックスプラス) 後輩たちと合流したなつめの安堵もつかの間、大量の猫を取り込んだ猫売りは巨大な脂塊(ファットバーグ)になり暴れだします。桐島主管も大量の猫を引き連れて防疫局員を殺戮。物語もクライマックスのシャ…

魔女の下僕と魔王のツノへと続く、アルセニオとサウロの物語 : 教国のレクエルド レビュー

タイトル:教国のレクエルド 作者:もち 年代:2018年~2020年 巻数:全2巻 あらすじ・概要 魔法を使うために必要な武具である導具の職人を目指す少年・アルセニオ。神に仕える魔法使いである「騎士」を目指す兵士の少年・サウロ。 2人は友情を育み、お互い…

教国のレクエルド1巻 感想

教国のレクエルド 1巻 (デジタル版Gファンタジーコミックス) 『魔女の下僕と魔王のツノ』の物語が始まるよりも過去のお話。アルセニオが人間としてイスパニアで暮らしていた頃の物語。教国のレクエルド1巻の感想です。 注意 この記事は、『教国のレクエルド…

奇才が描く、猫と石鹸を巡る物語 : シャボンと猫売り レビュー

タイトル:シャボンと猫売り 作者:高津マコト 年代:2017年~ 巻数:全3巻 あらすじ・概要 どこかレトロで、幻想的な景色のある街・猫迫(ねこはざま)。 以前は野良猫が大繁殖していた猫迫では、「防疫局」が保護とは名ばかりの野良猫の駆除を大々的に行い、…

シャボンと猫売り2巻 感想

シャボンと猫売り 2巻 (ガムコミックスプラス) 仇である防疫局の桐島主管から猫売り捕獲のための協力を求められるなつめ。 その態度に不信感を覚えながらも、他に猫売りを追う方法がないなつめは、防疫局の猫売り捕獲作戦に参加します。シャボンと猫売り2巻…

シャボンと猫売り1巻 感想

シャボンと猫売り 1巻 (ガムコミックスプラス) 猫達が狩られる街・猫(ねこ)迫(はざま)。そこで生活する凄腕の剣道少女・渋沢なつめと、その親友の心優しき少女・立花ちひろ。 平和で平凡な学生生活を送る2人でしたが、ある夕暮れ、神社で怪我をした野良猫を…

ヤサシイワタシ1巻・2巻 感想

ヤサシイワタシ(1) (アフタヌーンコミックス) ヤサシイワタシ(2) (アフタヌーンコミックス) この漫画はとても面白いのですが、読むと打ちのめされます。 「重たいテーマから目をそらさずに、丁寧かつ真摯に描き切った結果、とんでもなく重たい物語が出…

血の通った人肌の温度の鈍器で心を殴られるかのような漫画 : ヤサシイワタシ レビュー

タイトル:ヤサシイワタシ 作者:ひぐちアサ 年代:2001年~2002年 巻数:全2巻 あらすじ・概要 子供のころから続けてきたテニスの選手生命を身体の故障によって失った青年・芹生弘隆。 積み重ねてきた努力の分だけ、期待されて多くのものを注ぎ込まれた分だ…

りんたとさじ 感想

りんたとさじ 験かつぎオタクのメガネ男子リン太と、噛み癖のあるずぼら女子のサジ(本名佐藤順子)の大学生2人が日常に潜む怪異と立ち会う。展開の読めない不条理ホラーりんたとさじの感想です。 ホラー漫画のリアリティー 漫画にもいろいろなものがあります…

ただ怖いのではなく、深い味わいのあるホラー : りんたとさじ レビュー

タイトル:りんたとさじ 作者:オガツカヅオ 年代:2009年 巻数:全1巻 あらすじ・概要 快活なずぼら女子大生さじ(本名佐藤順子)の恋人は、験かつぎオタクのメガネ青年リン太。大学生としての日常を過ごす2人ですが、彼らの日常には、度々、不条理な非日常の…

緻密に描かれる復讐劇と人間の“貌” : モンテ・クリスト伯爵 レビュー

タイトル:モンテ・クリスト伯爵 著者名:森山絵凪、原作:アレクサンドル・デュマ 年代:2015年 巻数:全1巻 あらすじ・概要 マルセイユの船乗り、エドモン・ダンテスの人生は順風満帆。美しい婚約者との結婚も決まり、仕事では次の船長に抜擢されました。 …

モンテ・クリスト伯爵 感想

モンテ・クリスト伯爵 (ジェッツコミックス) モンテ・クリスト伯爵ことエドモン・ダンテスによる、自分を陥れた3人の男に対する復讐の物語の感想です。 漫画で描かれる壮絶な復讐劇。表情から登場人物の内面があふれ出る。 『モンテ・クリスト伯』自体は復讐…

ニッチなテーマと奇天烈な発想のびっくり箱 : ニッケルオデオン レビュー

タイトル:ニッケルオデオン 著者名:道満晴明 年代:2010年~2014年 巻数:全3冊 あらすじ・概要 1話につき8ページで話が完結。様々なテーマが扱われ、シリアスだったり、コミカルだったり、きれいにオチがつくこともあれば、あいまいな結末のまま余韻を残…

ニッケルオデオン【青】感想

ニッケルオデオン 青 (IKKI COMIX) 8ページの超短編スタイルと、独特過ぎる発想で振り回してくれた『ニッケルオデオン』もこの3冊目の【青】で最終巻となりました。 多種多様な物語とニッチな題材の「ヴンダーカンマー」 この短編集に収録されている物語話は…

ニッケルオデオン【緑】感想

ニッケルオデオン 緑 (IKKI COMIX) 道満晴明先生のニッケルオデオンの2冊目。1話1話を独特のセンスで組み上げています。ニッチなテーマも相変わらず多めでした。 お約束の状況×普通じゃない発想 お約束の状況から始まる話も、ニッチな題材を使った話でも、話…

ニッケルオデオン【赤】感想

ニッケルオデオン 赤 (IKKI COMIX) 道満晴明先生の短編作品集である『ニッケルオデオン【赤】』。1つの物語がわずか8ページです。 物語ごとに世界観が違うかと思えば、つながっている話もあり、切ない話があれば、おどろおどろしい話もあり、絵がポップでか…

陰影のある切なさ : 兎が二匹 レビュー

タイトル:兎が二匹 著者名:山うた 年代:2016年 巻数:全2巻 あらすじ・概要 約400年の人生を歩んできた不老不死の女性すず。外見年齢20代、仕事は骨董の修復、日課は自殺。 そんなすずに思いを寄せる青年、咲朗。年齢19歳、職業は喫茶店店員、日課は自殺…

兎が二匹2巻 感想

兎が二匹 2巻(完) (バンチコミックス) 不老不死のすずとその恋人の咲朗のすれ違いと純愛の物語。後半の感想です。 広島から廣島へ 回想シーンからさらに過去の回想へと跳ぶ形になりましたが、今度は1巻で名前だけ出てきていた花ちゃんについてのエピソード…

兎が二匹1巻 感想

兎が二匹 1巻 (バンチコミックス) つらい記憶と共に、長い時間を生き続ける不老不死のすずと、そんなすずを愛する咲朗。その2人の物語の感想です。 この二人にハッピーエンドはありうるのか? 物語が始まっていきなりの絞殺シーン。泣きながらすずの首を絞め…