タイトル:ダンジョン飯
著者名:九井諒子
年代:2015年~
巻数:既刊12巻
あらすじ・概要
多くの人が富を求めて集うダンジョン。その最深部でドラゴンに敗北してしまったライオス一行。ライオスの妹ファリンの機転で全滅は免れたものの、ドラゴンに食べられたファリンは迷宮に取り残されてしまいます。
魔法による蘇生は可能。ただし死体が残っていれば。
消化によるタイムリミットが迫る中、ファリン救出のため、金も時間もないライオスたちはモンスターを食べながらダンジョンの最深部を目指すのでした。
ファンタジー世界のあまりファンタジーじゃない部分
この作品は『ダンジョン飯』というタイトルですが、読んだ時に受ける印象は、いわゆる料理漫画とは違います。
毎回モンスターを調理して作るダンジョン飯。このダンジョン飯でどんなメニューが出てくるのかも楽しいのですが、完成品のダンジョン飯は、話のオチかアクセントに過ぎません。
この作品はファンタジー世界の生々しい部分や、世知辛い部分を、料理という生活から切り離せないものを切り口にして描いた作品です。
ファンタジーと言うと、勇者が魔王を倒すために旅に出る、あるいは多種多様な種族の交流や、魔法ありきの戦術も出てくる戦記物などを想像する人が多いと思います。
そう言った作品でも、ファンタジーをファンタジー足らしめる1つ1つの設定の積み重ねがあります。
RPGゲームで、武器の1つ1つに攻撃力や特殊効果とは別に、性能には関係のない武器の由来や製法についてのテキストが設定されている。
小説で、主人公が立ち寄った町の背景、物語の進行とは関係のない経済基盤が何かなどが語られる。
架空の世界を描くからこそ、想像力を掻き立て、そこに真実味を出すための設定の積み重ねが大切なのだと思います。
この作品はそういった設定の内、特に生々しい部分と世知辛い部分をだいたいコミカルに、たまにシリアスに描いていて、モンスターの生態などが特に多く熱く語られます。
モンスターマニアのライオスの熱い語りと周りの温度差。料理人のセンシの常識にとらわれない、それでいて合理的な調理。常識陣の阿鼻叫喚と突っ込みと諦観。そんなやり取りが楽しい作品です。
こんな人にオススメです。
- コミカルなファンタジーが読みたい人。
- ときに王道、ときに意外な調理法で、モンスターが料理になるのを見てみたい人。
こんな人にはオススメできません。
- 料理漫画が読みたい人
- コミカルとシリアスの同居が苦手な人