タイトル:魔女の下僕と魔王のツノ
作者:もち
年代:2014年~2022年
巻数:全16巻(+2巻※外伝の前日譚)
あらすじ・概要
育ての親である魔女ビビアンを救うため、薬の材料である魔王のツノを求める魔女の少女ベティ。
そんなベティの下僕であるアルセニオは、かわいい主人の涙を止めるため、魔王討伐に挑みます。
ところが、魔王は2頭身のゆるキャラのような外見に反して、飛び切り強く、さらに凄まじい変態。
魔王討伐のために集うメンバーも、ややこしい事情を抱えていて、さらには色恋もからんで人間関係が拗れに拗れます。
果たしてアルセニオたち一行は、魔王のツノを手に入れることが出来るのでしょうか。
「魔女の魔法×愉快な登場人物」のファンタジックラブコメディ―
この漫画は「ファンタジックラブコメディ―」と称される通り、ファンタジーな世界観の舞台で、ラブコメが繰り広げられます。
単に物語の舞台となるのがファンタジーな世界であるというだけではなく、「魔女の魔法」というファンタジーな要素が、ラブコメ要素に深く絡んでくるので、正しく「ファンタジックラブコメディ―」です。
戦闘手段としての「魔法使いの魔法」以外に、動物への変身や、他者の体への憑依、性別の変更といった様々な「魔女の魔法」が出てくるのが、この漫画の面白いところです。
特に性別の変更は物語の柱の1つになっていて、自分が女だという自覚が薄い元少年が周囲を混乱させることもあれば、女性化した自分の体を恥ずかしがる人もいて、逆に女性化した自分の体に異様に興味津々な人も登場します。
面白おかしく人間関係を引っ掻き回す要素としてだけではなく、魔法による性別の変化が心にどのような影響を与えるのかが真面目に考察される場面もあり、性自認(心の性別)や同性愛といったものについて語られることもあります。
TS(性転換)要素が好きな方にお勧めです。
ボケとツッコミ・会話のテンポの良さや、絶妙な間の取り方、愉快な登場人物たちの奇行、場面転換のタイミング等、読者を退屈させない工夫が細かい所までされていて、単純にコメディー作品としても楽しく読めます。
一方で、シリアスなはずの戦闘シーンにも容赦なくギャグが投入されるので、迫力のある戦闘シーンや、緊迫感のある駆け引きを楽しみたい人にはお勧めできません。
こんな人にオススメです。
- 性別の変化、人と魔物、師弟関係に、三角関係。人間関係がいろいろな要素で拗れるファンタジーなラブコメが読みたい人。
- シリアスなファンタジーよりも、コメディー要素多めのファンタジーラブコメディーが読みたい人。
こんな人にはオススメできません。
- 2頭身のゆるキャラのような魔王や、頻繁に入るギャグなど、緊迫感があるのかないのかよく分からない戦闘シーンが許せない人。
- 性転換や、同性愛といった要素が苦手な人。