コミックコーナーのモニュメント

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クミカのミカク3巻 感想


クミカのミカク(3)【電子限定特典ペーパー付き】 (RYU COMICS)

 

 カラーページだとより映えるクミカさんの触手の光。前の巻に引き続き、巻頭のカラーページで魅せてくれました。

 外星人のお友達も増えてきたクミカのミカク3巻の感想です。

 

クミカさんとエピーちゃん

 16話では、クミカさんの友達のエピーちゃんことエピーエイブンが遊びに来ます。

 小柄で、頭から葉っぱつきの蔦が生えていて、とても愛らしい外見の癒し系。クミカさん曰く「マイナスイオンとか出てそうだな…」とのことです。

 彼女は1巻の7話でクミカさんが取材に行った牧場で働いている外星人で、実は気性の荒い生物が多く生息している星出身の狩猟民族だったりします。

 エピーちゃんとクミカさん。この2人の組み合わせいいですね。かわいいです。

 小さい身体でちょこちょこ動くエピーちゃんがかわいい。エピーちゃんを慈しむクミカさんもかわいい。

 しかし、唐突に自分の頭の蔦を引きちぎるのはいかがなものでしょうか。びっくりします。

 クミカさんの慈しむ目を蔦が食べたいのかなと勘違いしていたのですが、そんなに味に自信があるのでしょうか。牧場の牛たちには大好評で、よくモリモリ食べられている様ですが。

 1巻のおまけ漫画によると、彼女の蔦はメカブのような味がするそうです。そして、今巻の表紙裏のキャラクター紹介によると、彼女の好物はメカブ。なるほど、自分の蔦の味に自信があるわけですね。

 見た目や動きの愛らしさに、意外な趣味、ワイルドな狩猟民族の側面と、1日でいろいろな顔を見せてくれたエピーちゃん。

 そんなエピーちゃんの手作りオムライスを食べたクミカさん。

 見た目や、食材の組み合わせからのイメージとは違う味のするオムライスに、クミカさんが、その味や、今日1日のエピーちゃんを噛みしめながら「知ったつもりでも、知らないことってあるんだな。でもそれが――――味なんだな」と独白しますが、これこそまさに漫画『クミカのミカク』の魅力を言い表すのに適切な言葉なのではないかと思いました。

 この漫画は、クミカさんの新しい表情が次々に出てきます。多種多様な表情描写に、多彩な漫画的演出、様々な触手リアクションで毎回魅せてくれます。

 新しい顔を毎回魅せてくれるということが、そのことが楽しいのが、まさにこの漫画の「味」なのだと思います。

 この漫画の魅力をうまく一言にまとめられず、やきもきしていた所だったので、そこがすっきりした回でもありました。

 

七つも無いけど七不思議

 上のタイトル、これは17話のサブタイトルなのですが、このタイトルが好きです。うまく言葉で説明できないのですが、楽しい感じがしないでしょうか。

 実際にこの回はクミカさんの秘密がいろいろと明らかになり、笑い所も多いとても面白い回でした。

 花粉の季節、外回りから帰ったキヨシゲ君に頼まれて花粉を吸いに行くクミカさん。大口を開けて花粉を吸い込む絵に加えて、本人がまんざらでもない様子なのが面白いです。

 そして、クミカさんの通勤方法が「飛行」であることが判明。

 しかも地力飛行できる上に、毎日空を飛んで通勤しているのに、高い所が苦手という謎の事実。

 飛行実演から、気分が悪くなってしまい、いわゆるラッキースケベと言うには残念過ぎるヒップドロップをチヒロさんにかましてしまいます。この色気のなさがいいです。

 感情によって光を放つ触手についても言及されますが、「笑いたいときに笑って、泣きたいときに泣くのと、同じことだと思います…」といい話になります。自分の触手を握りながら話すコマのクミカさんの絵が、とても素晴らしいです。

 だからこそ、そこから「困ることも多い」という話につながるのが笑えました。

 ある夜に、夢の中でハンバーグを食べるクミカさん。ハンバーグの味に反応して、寝ていた自分の顔のすぐ横で、暗い部屋の中で、触手が放つ激しい光で目が覚めてしまうという珍妙な事態に。

 珍妙な事態に加え、暗い部屋の中で眩しそうなクミカさんの寝起きの顔がまた笑えました。光の当て方にも、目覚めの1コマと、その次の不機嫌な寝起きの1コマの表情にもこだわりを感じます。

 そして、何より面白かったのが、ブラックコーヒーに初チャレンジした際のリアクション。

 小野中先生は本当に表情描写が多彩ですね。本当に苦そうな表情に加えて、暗い背景、顔にかかる影、暗いオーラの立ち上る触手エフェクト、「にっっっがいなコレ…」とタメのあるセリフ。この合わせ技が素晴らしいです。

 この時点でも十分すぎるくらいに面白かったのですが、最後の最後にエイリアちゃんの頭のカバー状の器官の下を見た一同が固まりオチがつきます。

 何となく彼女は単眼なのではと思っていたのですが、その程度ではなさそうです。いったい、一同は何を見たのでしょうか。気になります。

 

クミカさんとメロウさん

 クミカさんとエレベーターで遭遇したメロウさん。出流原デザインの1つ下のビル3階に入っている会社で働く外星人の女性です。

 以前にサンタコスのチヒロさんが、窓からメリークリスマスして、ドン引きさせた会社ですね。ドン引きしている人たちの中に、確かにメロウさんもいました。

 クラゲの様な笠が頭の上にあり、本人の申告でも地球のクラゲに似ている人種とのこと。地球の重力の中でも直立して歩けるくらい丈夫なようですが、心なしか足取りがふわふわしているような気がします。内臓などは見えませんが、細かい描写を見る限りでは体はうっすら透けている様です。

 エレベーターの中で立ったまま熟睡する等、行動パターンが独特な人です。のんびりしているのに、グイグイ来ます。

 物理的にも、精神的にも、やたらと距離感が近く、頭の笠が触れるのも気にせずに、グイグイ来る彼女に圧されるクミカさんが面白かったです。プルプルの笠が顔に当たっている時の混乱顔や、困惑顔が特に。

 苦手な熱や塩分を含むハンバーグを美味しそうに食べながら、全身から水分を放出し、縮んでしまった場面もありました。大騒ぎするクミカさんを他所に本人は終始にこやか。

 オタクとして暴走したエイリアちゃんに、たじろいだ場面もありましたが、その時も顔は笑顔のままです。

 こうして見ると、彼女にドン引き顔させたチヒロさんはやっぱり凄いですね。

 

イズル社長とハルニさん

 季節は梅雨を迎える頃、全宇宙の航星機の70%以上のシェアを持つ、ヴリドラ航星社のCEOが来日。※航星機というのは要するに宇宙船です。

 来日の目的は娘のお見合いです。要は業務提携のための政略結婚ですね。

 長い黒髪、尖った耳と、前髪の間から伸びる2本の角。地球人とは眼球と瞳の色も違う目元で、日本の着物をすっきり着こなすのは御令嬢のハルニ・ヴリドラさん。

 そんなハルニさんのお相手は、大企業である出流原重工の御曹司・出流原宗一郎。つまり、イズル社長でした。

 イズル社長と彼の父親の中は険悪である様子で、どうやら、実家に反発して自力で出流原デザインを立ち上げた様なのですが、その辺りの事情説明は断片的でした。

 何故今回のお見合いに挑んだのか、イズル社長の胸の内は不明です。

 お見合い自体は、イズル社長が、お見合いを急かしに来た自分の父親を勢いよく部屋に蹴り込んだことで、無事破談となりました。

 父親を蹴り倒した勢いそのままに、ハルニさんのすぐ前の机に腰かけ、謝りつつも「こんな男と一緒になるより、あんたに似合う男なら星の数ほどいるからよ」と決めるイズル社長。

 お見合い用の鬘の外れたスキンヘッドに、雨上がりの太陽が反射しています。

 そして、そんなイズル社長にときめいてしまったハルニさん。

 ちなみにこの20話のタイトルは「雨上がりに光るもの」でした。

 ヴリドラ家の道具として使わる自分の人生を諦めていたハルニさんですが、どうやら、イズル社長は、彼女の心の雨を晴らし、光を差し込ませることができた様です。

 ただ物理的にスキンヘッドが光っているだけではなく、ちゃんと内容とダブルミーニングになっている所で、なおのこと笑えました。

 イズル社長の影響か、ハルニさんには光を使った演出が多いのが印象的でした。

 特に21話で、クミカさんに自分のイズル社長への想いを告げる場面。ハルニさんを背後から照らす夜の街の光が、クミカさんを正面から照らします。

 まるで、イズル社長に恋するハルニさん自身の輝きに、クミカさんが心に秘めていたものまで照らされるという様な表現が素敵でした。

 

 

 クミカさんとエピーちゃんは、かわいさの相乗効果が凄いです。

 エイリアちゃんは、「マンガの絵がいっぱいの街並み」が落ち着く様子。無機質で窮屈で可愛げのない故郷があまり好きではなかったということでしたが、もういろんな意味で故郷では生きていけない状態になっていると思います。

 メロウさんの独特の性格は、彼女個人による部分が大きいのか、種族的な部分が大きいのか、そこも気になります。

 ハルニさんも、ラーメン屋の雰囲気に怯え、クミカさんの背中に張り付きながら移動したり、クミカさんのとても美味しそうな食べっぷりに感化されて、慣れない箸でラーメンをもぐもぐしたりする様子が、とてもかわいかったです。

 ハルニさんの従者のメギアさんは、セリフだけでなく、動作も一々うるさいのが面白かったですね。

 クミカさんだけでなく、この漫画に出てくる外星人の皆さんは、みんな魅力的です。