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凄惨な事件を通して描かれる警察官という仕事の闇:ハコヅメ~交番女子の逆襲~別章アンボックス レビュー

 

タイトル:ハコヅメ~交番女子の逆襲~別章アンボックス

  作者:泰三子

  年代:2021年

  巻数:全1巻

 

あらすじ・概要

 町山警察署生活安全課のくノ一捜査官こと黒田カナ。

 多数派の「正義」という言葉に追い詰められながら育ち、それでも困っている人を助ける道を志し警察官になった彼女の物語が語られます。

 町山警察署管内で起きた凄惨な事件を通して描かれるのは、警察官という仕事に対する世間の無理解と、正義というものの暴走の恐ろしさ、そして、社会に追い詰められる警察官の姿です。

 『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』本編と同じ町山警察署管内のエピソードですが、仕事の大変さを笑い飛ばすコメディー調の本編とは毛色の異なるエピソードです。

 

 

『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』についてご存じでない方は、こちらの記事に簡単な説明がありますので、宜しければご覧くださいませ。

www.iiisibumi.com

 

これもまた警察官のリアル

 『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』本編でも度々登場している黒田カナ巡査長を中心として、マスコミ関係者や、他の捜査官の視点も使い分けながら、1つの大事件の発生から解決までが描かれています。

 本編でも伏線のあった黒田カナ巡査長の意外な背景も語られます。

 なぜ本編とは別章となったかは、読めば理解できるでしょう。

 いつもの町山警察署管内で、ごくありふれた警察官の日常の延長で起きた事件だからこそ凄惨さが際立ち、それに関わる警察官の物語も、格別に重たく辛いものになっています。

 著者の泰三子先生が、警察官の仕事を知ってもらいたくて描いたという『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』。社会派のお仕事漫画ですが、本編は読みやすいコメディーとして描かれています。

 今回のエピソードは、その本編とは明らかに空気が違います。とても笑えません。いつものハコヅメの感覚で読んでしまえば衝撃を受けることでしょう。落ち込んでしまうかもしれません。

 かといって、いつものコメディーの空気でやろうとすると、作者である泰三子先生の訴えたいテーマがぼやけてしまっていたかもしれません。

 「別章」という形は英断であったと思います。

 漫画としての雰囲気はだいぶ異なりますが、相変わらずの面白さです。

 ハコヅメという漫画の面白さを語る上でコメディー要素は欠かせませんが、一方で、コメディー要素はある意味ではリミッターでもあったのだと、このアンボックスを読んで思いました。漫画の面白さとしてはピーキーになっている気がしますが、物語の衝撃と、メッセージの伝達力が桁違いです。

 繰り返しますが、凄惨な事件で、非常に重たい物語です。覚悟してからご覧ください。

 

アンボックスを読むタイミング

 このアンボックスでの事件が起きたのはハコヅメ本編17巻と18巻の間のタイミングです。本編のナンバリングを当てはめるのならば、アンボックスは17.5巻と言えるでしょう。

 時系列的な意味でも、内容を十分に楽しむ意味でも、17巻まで読んでから読むことをお勧めします。本編17巻まで読んでいないと詳細なニュアンスが伝わらない表現・演出・描写がありますので。

 また、アンボックスの物語の結末を匂わせる内容が本編18巻にあるため、18巻を読む前にこちらを読むか読まないか決断することをお勧めします。

 絶対に読むべきだと言うことはできません。あまりにも重たいお話なので。

 

こんな人にオススメです。

  • 社会派のお仕事漫画としてのハコヅメが好きな人。
  • ハコヅメという漫画を味わい尽くしたい人。

 

こんな人にはオススメできません。

  • 『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』をまだ17巻まで読んでいない人。
  • 重たいエピソードは読みたくない人。あくまでコメディーのハコヅメが好きだという人。