毎回カラーの扉絵も鮮やかな狐のお嫁ちゃん4巻の感想です。
お嫁ちゃんと自転車
お嫁ちゃんは日常生活での機動力を確保するために、旦那さんの実家へ彼が昔使っていた自転車を取りに行きました。
さっそく自転車に挑戦となりますが、自転車の乗り方についての旦那さんのアバウトな説明に混乱顔のお嫁ちゃん。
実際に乗って覚えるしかないとチャレンジするも、「ぎゃああ」とやたら大仰な悲鳴を上げて転ぶお嫁ちゃん。
なぜ人はこんなものに乗れるのかと、倒れたまま困惑顔のお嫁ちゃん。
補助輪付きの小さい自転車で練習するため、1巻でも登場した幼女形態に変身しますが、補助輪を外して旦那さんに支えてもらいながら走行する段になって、「良いか手を放すなよ。絶対手を放すなよ」と言っていたにも拘らず、手を放されて転んで顔を真っ赤にしたり、ポカポカ叩いたりするお嫁ちゃん。
かわいかったです。
旦那さんは僕の時代はみんなああやって練習したと言っていましたが、私も膝を擦りむいた記憶がありますね。
山での狩りとお嫁ちゃん危機一髪
山で野生の狐・バッテンと出会ったお嫁ちゃん。※バッテンの名はお嫁ちゃんが命名。
身ごもった妻に滋養を付けさせたいバッテンと協力して狩りをします。
しかし、ある日、お嫁ちゃんが仕留めた鹿を追ってきていたツキノワグマに遭遇。
とっさに狐モードにトランスフォームして木の上に逃げたお嫁ちゃんでしたが、全ケモ状態でかつ、危機的状況の中、「銃を取り戻さんと所持許可が取り消しじゃ…」と心配しているお嫁ちゃんを何だかシュールに感じてしまいした。
御守りの首飾りから飛び出てきたお嫁ちゃんの父上のおかげで事なきを得ましたが、何故最初に熊が突進してきた時に出てこなかったのですかね。かなりギリギリの状況でしたが。
個人的には父上が出てきた御守りの首飾りの石の部分が、服の襟で隠れていたからではないかと思っています。父上と一緒に出てきた母上が言うには、この石は狐の里とつながっているらしいので。
考え無しで飛び出したお嫁ちゃんへ母上からのお説教となりますが、母の干渉を嫌って実家から飛び出し、以前に里帰りした時に「二百年返っておらぬ」と言っていたお嫁ちゃんも爆発します。
化け力を持たない狐は同族ではないと母上が言っていたり、その割にバッテンとお嫁ちゃんが意思疎通できていたり、詳しい事情が気になる所もありますが、一番印象深かったのはお嫁ちゃんの父上ですかね。
ツキノワグマを一飲みにできそうなサイズで、妻と娘の口喧嘩におろおろしていたのがかわいかったです。
同窓会とサダさんと剣呑なお嫁ちゃん
旦那さんは高校時代のクラス同窓会へ。そこで同じ民族文化研究部だったサダさんと再会します。
サダさんも既に既婚者で、本職のイラストレーター。しかも妖怪画が専門。
元クラスメイトのみんなは、旦那さんが結婚した相手がどんな人かに興味津々ですが、旦那さんが話すにつれてどんどん混沌として行くお嫁ちゃんイメージに混乱していました。地元でも隠していないので化け狐だと言ってしまった方が早い気もします。
そんな中「狐と結婚した?」と問うサダさん。
どうやらサダさんは昔、旦那さんへ秘めていた思いがあった様です。
昔から狐大好きだった旦那さんを「人間と結婚するなんてまるで想像つかないよ」と言うサダさんですが、旦那さんのことをよく理解していればいる程、告白のハードルが大きくなりそうですね。
「あの頃は毎日が本当に楽しかったなぁ」とも言っていましたので、関係が壊れるリスクを恐れたのではないかという風にも想像できます。
いずれにせよ、2人とも結婚した後で、そういう未練がある様子でもなし。ただ懐かしみ、過ぎ去りし日々の思い出の延長として、そんな「もしもの告白」をするサダさん。
文化部の穏やかな青春ともしもの話。こういうのも趣がありますよね。少し何かが違うだけで、大分印象が変わってしまいそうな場面でしたが、未練がましさはなく、その上で大切な思い出として語られる塩梅が良かったです。
帰宅後、サダさんの匂いを嗅ぎつけ、やたらと座った目で、「ゆめゆめ隠し事をせぬことじゃ。喉笛を噛みちぎられたくなければな」とやたらと剣呑な物言いをするお嫁ちゃん。
旦那さんが同窓会に行く前から、「他のメス」の警戒をしていたお嫁ちゃんですが、そのことを踏まえてもずいぶんと剣呑な物言いに感じます。
昔の友達の墓参りに行っていたらしいので、お嫁ちゃんの方も昔の何かを思い出して、感傷的になっていたのかもしれません。
ジビエとブログ
お嫁ちゃんの狩猟の成果は上々。自分達が食べる用の肉も、冷蔵庫には入りきらない程余っているということで、お世話になっている人達にジビエ料理を御馳走しようという話になりました。
当日、笹山さんと田端さんは、笹山さんの運転するバイクで山のレストランへ。
やたらとハイテンションな田端さんと、田端さんが落ちないか心配する笹山さんが印象的でした。
私自身、昔、人の運転するバイクの後ろに乗せてもらった時に、もの凄く怖い思いをした記憶があるのですが、田端さんはすごく楽しそうでした。セリフからしてバイクに乗るのは初めての様でしたのに。この状況だと、確かに笹山さんの方がハラハラしそうですね。
カフェエプロン姿のお嫁ちゃんがお出迎え。尻尾の毛が飛ばないようになのか、尻尾にかぶせる形で後ろにも何か身に着けていますね。こういう細かい所への気配りが素敵です。ただエプロンを着せて終わりではない所に、Batta先生のこだわりを感じます。
ランチの説明をする場面での立ち姿のバランスもいいです。尻尾の形が特に。
美味しそうな料理に舌鼓を打つ合間に、何やらメモを取っている田端さん。
どうやら、資料館の職員ブログを書いている彼女は、表現力を鍛えるために書簡をメモにしてトレーニングしている様です。
文章の表現は難しいですよね。思ったことをただ書いても面白みのない文章になったり、気の利いたことを書こうにも語彙力や、専門知識がついてこなかったり、考えすぎても無駄に長くて読みにくい文章になってしまったりしますからね。
子供の養育費用のことで少し思いつめていた所、旅行先で旦那さんの思いのたけを聞いて、感極まってしまったお嫁ちゃんの表情が良かったです。展望抜群で部屋付き露天風呂ありの旅館。素敵です。
笹山さんと田端さんのダム観光の幕間も良かったですね。私が子供の時分にダムへ連れて行ってもらった時は、何が楽しいのかまったくわかりませんでしたが、今の自分が行けば絶対楽しめる自信があります。