コミックコーナーのモニュメント

「感想【ネタバレを含みます】」カテゴリーの記事はネタバレありの感想です。 「漫画紹介」カテゴリーの記事は、ネタバレなし、もしくはネタバレを最小限にした漫画を紹介する形のレビューとなっています。

令和のダラさん2巻 感想その②


令和のダラさん 2 (MFC)

 

感想その①はこちらです。

www.iiisibumi.com

 

 

 おまけマンガ『新年のダラさん』に加えて、キャラクター紹介に、劇中で登場したいろいろなものの解説と、おまけページも充実している『令和のダラさん』2巻の感想その②です。

 

おまけページと劇中劇のクオリティーがおかしい。

 現実のブランドや、創作物のパロディーが、漫画に登場すること自体は見慣れた光景ですが、この漫画のそれはいろいろおかしいですね。

 どのようにおかしいのかと言うと、元ネタは一目瞭然なのに、妙に手の込んだ設定が盛り込まれていて、ビジュアル面のクオリティーも異様に高いです。

 この2巻で登場したものだと、一番笑ったのがゲームソフト「ヒューマンハンター」。一番内容が気になったのは「星渡りのハバキリ」でしょうか。

 「ヒューマンハンター」は、本編内での日向の「人狩り行こうぜ!!!」のセリフに、レーティングの心配をするダラさんの時点でツボに入りましが、おまけページで出てきた「聖騎士の血染め鎧片」やら、「千年エルフの魔蓄胆嚢」やら、怖すぎるアイテム名が良かったです。

 「星渡りのハバキリ」は、アンドロイドのヒロインの存在を重要視したリアルロボットアニメの「機動殻身ティタニカ」シリーズの第12作目であるという点に興味をとても惹かれます。

 毎回アンドロイドヒロインで、ストーリー的にも、世界観的にもそのポイントを重要視している作品が他に最低で11作品。全部見たいです。

 そして、ロボットデザインと、ロボットプラモデルである「ヴァン・プラ」のボックスアートのクオリティーが高すぎてびっくりしましたね。なお、「ヴァン・プラ」の愛称はメーカーの名前が「ヴァンガイ」だからだそうですが。

 「ケルベロスコーヒー」のロゴマークも好きですね。妙にダラさんに似ていたのが気になりました。

 地方ローカルのチェーン店ということでしたが、まさか創業者はダラさんを目撃したことがあったのでしょうか。

 

姉巫女・椿との決着

 過去編では、ダラさんを陥れた姉巫女・椿との決着がつきました。

 元々、ダラさんのことを疎んでいた両親や、東集落の人間を見下していた西集落の人間たちにもいい印象はありませんが、生前のダラさんの謀殺と、屋跨斑(※ダラさんとして安定する前の暴走した祟り神)の発生は全部この姉が原因なのですよね。

 しかも犯行動機は嫉妬と保身。

 被害者である妹・ダラさんも、騙して利用した共犯者たちも、利用するだけ利用して殺し、殺した後も利用するつもりの悪辣極まりない計画的犯行。

 その末路は因果応報・自業自得なものでしたが、したことと、しようとしていたことの悪辣さを考えると、随分とあっさりしたものだったとも思います。

 現代でのダラさんが善良さの塊であるだけに、そのダラさんが何故怨霊になって、祟り神になってしまったのかという背景の描写は、漫画として必要なわけですが、説得力があり過ぎましたね。

 この過去編も、ネット掲載版から大きくパワーアップした部分ですね。人間ドラマがもの凄く重厚になっています。

 

初瀬川周(はせがわあまね)と谷跨斑(やまたぎまだら)

 日向のクラスに転入してきた少女・初瀬川周(はせがわあまね)。

 長い黒髪のミステリアスな美少女という外見と、重たい背景設定。

 そして、それらにそぐわない変な方向に突き抜けたキャラクター。

 今後、この漫画にカオスな状況を巻き起こしそうな彼女への期待は高まるばかりです。

 彼女はダラさんが生前に討伐し、その半身を取り込んだ怪異・谷跨斑(やまたぎまだら)の分霊に憑りつかれていました。

 この回の前話でおどろおどろしい登場をした谷跨斑。

 祭りの夜のシリアス展開もあり、すわ現代でもシリアス展開かと身構えれば、まさかの展開。いきなりギャグ要員になってしまった谷跨斑に笑いました。もう本当に笑いました。

 自分の封印を解かせるために、封印の隙間から自分の分身を世に放ち、転生させようとした谷跨斑。その失敗を説明する1コマにまず腹筋がやられました。

 転生ガチャ・イシガメピックアップというパワーワードと、コマの背景を埋め尽くす大量のイシガメ。転生先とそのそれぞれの寿命の図表化で、この試みの失敗理由もわかるのが面白すぎます。

 周の方も、谷跨斑に取りつかれたせいで1年以上昏睡し、体を強制的に成長させられ、さらには憑りついた分霊が馴染めば、いずれ谷跨斑に操られてしまうという重い説明があるものの、絶対にそうはならないと現時点で確信してしまいました。

 ダラさんの気配を感じ取った谷跨斑による誘導かと思いきや、完全に本人の意思で日向にぐいぐいと寄せていく周。

 幼稚園時代から日向を慕っていた彼女は、谷跨斑の憑依や、操りも煩悩で乗り越えそうな予感がします。予感しかしません。

 薫と似た雰囲気があるのですよね。薫と違って実際に何かしたわけではありませんが。

 独特の効果音と共に、コマの背景でダイナミックな舌なめずりをしながら、日向との運命的再会に感謝する彼女の姿には、そう確信させるだけのパワーがありました。

 

 

 日向狙いの周。

 周とまだ顔を合わせていないにも拘らず「おっぱいでっかい中学のおねーさん」というワードに超反応する薫。

 谷跨斑の気配に反応するダラさん。

 現時点で既に暗躍が絶対にうまく行かない雰囲気になっている谷跨斑。

 ここからの展開が楽しみです。さぞ、笑えるカオスになるのだろうとワクワクしています。

 過去編は一段落した感じですが、この漫画のこれまでの構成から考えても、まだまだ描かれることがあるのでしょうね。

 現代編は今後さらに盛り上がって生きそうですが、どうかダラさんには幸せになってほしいです。