
透明男と人間女~そのうち夫婦になるふたり~ 【電子コミック限定特典付き】
タイトル:透明男と人間女~そのうち夫婦になるふたり~
作者:岩飛猫
年代:2021~
巻数:既刊9巻
あらすじ・概要
人間、ドワーフ、エルフ、獣人、他にも宇宙からやってきたモワワ星人などなど、様々な種族の者たちが暮らす世界。
種族ごとに異なる体質と能力、それぞれの文化・ルーツを持ちながらも人々が協力し合い、共に暮らし、わかりあえたりあえなかったりしながら回っていく社会。
そんな世界の「日本」の何処かにある小さな探偵事務所・透乃眼(とうのめ)探偵事務所。
そこで働く事務員である盲目の人間女・夜香(やこう)しずかと、事務所のオーナーで探偵の透明男・透乃眼(とうのめ)あきら。
恋愛未経験、先天性の全盲であるため「見えない」ことが当たり前の人間女性と、大人の紳士だけれど、「見えない」からこその傷を心に負った透明人間。
これはそんな、そのうち夫婦になるふたりと、愉快で暖かな仲間達のお話。
タイトル通り。安心して読める甘々な恋愛劇
まさにタイトル通り。盛大にネタバレどころか、宣言しております。そのうち夫婦になるふたり。内容もタイトルそのままなので安心して読めます。
王道のラブストーリーですが、恋の障害やライバルが次々に現れたりする感じのものではなく、同じ職場で働く2人が付き合いはじめ、周囲に祝福されながらテンポよく段階を踏み、関係を深めながらいずれタイトル通りになるといったストーリーです。
2人の周りにいる愉快で暖かな人々のエピソードもあり、こちらも面白可笑しくほっこりできます。
物語は着実に進みますし、漫画の構成としても、数ページの小エピソードごとに一区切りしたり、場面転換したりするのでサクサク読めます。
ラブストーリーの味は甘酸っぱくも、サクサク食感のおかげでしつこさは感じず、ベタ甘の割に読後感はすっきりさっぱり。
漫画の背景を青緑色に着色していて、その影響もあってか漫画全体に落ち着いた雰囲気があります。
コマ外に配置した文章で、漫画の内容を補足したり、もう一段オチをつけたりする技法も独特の味わいを出していて、面白いです。ここでのワードチョイスにもセンスを感じますね。
偏見にさらされることの多い透明人間というマイノリティー種族の中で、さらに一般的な透明人間とは違う感性を持つが故の孤独を抱える透乃眼あきらと、生まれつき目が見えないが故に「見える・見えない」という感覚自体がわからない夜香しずかのコンビが凄くいいです。
孤独を抱える人間が、その孤独を癒せる感性・価値観の持ち主に救われ、惹かれるという構図はラブストーリーのある種の定番ですが、凄く丁寧に、かつテンポよく描かれているそれは読んでいて気持ちがいいです。
透乃眼さんのトラウマや、彼が心に抱える孤独は、物語が進むにつれて語られますが、透明人間ではない我々にも十分に想像・共感できるもので、だからこそ、彼が夜香さんに救われ、惹かれていくことに迫真性があります。
独特の感性の持ち主で、大別するなら純粋な天然とも言える夜行さんですが、そんな大雑把な分類をしたら申し訳なくなるくらいには味のあるキャラクターをしています。
彼女は純粋、かつ、むっつり。ふわふわした天然に見えて、自分の考え、世界の見方をしっかりもっていて、それはそれとして感性が独特。前向きにも後ろ向きにも妄想が暴走しがちですが、物事の本質的な部分をごく自然に見抜きます。とても表情豊かでリアクションが良いので、見ていて面白いです。
2人には本当に幸せになってほしいです。読んでいて、そんな気持ちになれる漫画です。
こんな人にオススメです。
- ベタ甘のラブストーリーを読みたい人。
- スマートな人外紳士が慌てたり、妄想癖持ちリアクションヒロインが顔を真っ赤にしてバタバタしたりするのをニヤニヤ、ニヨニヨしながら見守りたい人。
こんな人にはオススメできません。
- 「様々な種族が暮らす世界」に社会派のSF的な世界観や、緻密な世界設定を期待してしまう人。※他種族共生社会についてはその都度必要最低限の掘り下げしかありません。
- 次から次に現れる恋の障害や、恋敵を乗り越えていくタイプのラブストーリーを読みたい人。