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魔女の下僕と魔王のツノへと続く、アルセニオとサウロの物語 : 教国のレクエルド レビュー

 

タイトル:教国のレクエルド

  作者:もち

  年代:2018年~2020年

  巻数:全2巻

 

あらすじ・概要

 魔法を使うために必要な武具である導具の職人を目指す少年・アルセニオ。神に仕える魔法使いである「騎士」を目指す兵士の少年・サウロ。

 2人は友情を育み、お互いの夢に向かって歩いていましたが、日常の平和はある日突然の終わりをつげ、悲劇と過酷な運命が襲い掛かかります。

 『魔女の下僕と魔王のツノ』と同一の世界観の物語です。

 コメディー多めの本編よりも、シリアス多めで繰り広げられるファンタジーストーリーです。

 

『魔女の下僕と魔王のツノ』についてご存じでない方は、こちらの記事に簡単な説明がありますので、宜しければご覧くださいませ。

manga-isibumi.hatenablog.jp

 

 

シリアス多めで描かれるアルセニオとサウロの過去の物語

 『魔女の下僕と魔王のツノ』本編の物語が始まるよりも以前の、アルセニオとサウロが2人の母国・イスパニアにいた頃のエピソードとなります。

 アルセニオが導具職人を目指していた頃、サウロがまだただの兵士として騎士になることを目標としていた頃の2人の交流と友情、そこからの悲劇が描かれます。

 『魔女の下僕と魔王のツノ』本編を既に読んでいる人は、アルセニオの苦悩や、サウロのアルセニオへ向けた様々な感情の理由と背景が語られることで、いろいろとすっきりするのではないでしょうか。

 特に、本編でサウロがアルセニオに向ける感情の背景となる部分は、もち先生の巧みな心理描写で丁寧に表現されています。

 丁寧な心理描写、セリフのセンス、軽快なテンポの会話などは本編同様です。

 一方で、物語や戦闘場面の演出などは、本編に比べ、かなりシリアス多めになっています。ギャグも少なめです。

 戦闘シーンでも、大ピンチの状況でも、容赦なくギャグが投下される本編と同じ印象で読んでいると、驚くことになる人も多いでしょう。

 本編の方を知らない方でも、こちらだけで1つの物語として読むことができます。

 ただし、その場合は後から本編を読んだ時に、シリアスからギャグへのギャップに苦しむことになるはずです。

 個人的には『魔女の下僕と魔王のツノ』をある程度読み進めてから『教国のレクエルド』を読むことをお勧めさせていただきます。

 

こんな人にオススメです。

  • 魔女の下僕と魔王のツノ本編では、断片的にしか語られなかったアルセニオとサウロの過去に興味がある人。
  • アルセニオとサウロの母国イスパニアを見てみたい人。

 

こんな人にはオススメできません。

  • 魔女の下僕と魔王のツノ本編を未読の人で、かつ読むつもりがない人。※こちらだけでもファンタジー漫画として楽しめますが、こちらのみの場合、後味の悪さを感じる可能性が高いです。
  • 二頭身の魔王や、ところかまわず投入されるギャグまで含めた本編のゆるめの世界観が好きな人。