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お姉さまと巨人(わたし) お嬢さまが異世界転生8巻 感想その③


お姉さまと巨人 お嬢さまが異世界転生 (8) (青騎士コミックス)

 

この記事は感想その③となっています。

 

その①はこちら

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その②はこちらです。

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 ミミナシ卿の口から語られたのは、異世界の成り立ちと、異世界召喚に関わる悍まし過ぎる真実。

 今回、それについて少し気になることがあったので、自分なりの考えをまとめてみました。

 『お姉さまと巨人(わたし) お嬢さまが異世界転生』8巻の感想その③です。

 

異世界転生の真実の矛盾?

 異世界召喚および転生者への『チートコード』の付与が古代文明人にとっての遊びに過ぎなかったということが今回あきらかになりました。

 ヒナコが異世界召喚された際に出会った女神は『チートコード』を与える存在のはずが、転生者に想定外の挙動をされるとあっさりとホログラムであることがばれてしまうお粗末さでした。システムを作った側の異世界人への侮りを感じていましたが、どうやら間違いではなかったようです。

 そして、なるほど。これは異世界召喚した人間に『チートコード』を選ばせるための装置であると同時に、古代文明人たちにとっては、遊園地のアトラクションか何かの入り口にあるギミック付きのオブジェみたいなものだったわけですね。

 そう考えると、あのデザインや、セリフのセンスにいろいろ納得してしまいました。

 ただ、今回のミミナシ卿のネタばらしで、どうしても気になってしまう部分もありました。

 ミミナシ卿は転生者がランダムに召喚される理由として、「ランダムポップするプレイヤーを作りたかったんだ」と言っていました。「折角のチートで俺TUEEEしようにもさ」、「比較対象としての相手(モブ)は必要だろ?」と。その後、古代文明人たちがチートコードのせいでシステムから締め出されて止めることが出来なくなったのだと。

 この説明だと、異世界召喚した人間に『チートコード』を与えていたのは最初からということになる気がします。

 一方でミミナシ卿は7巻・24話で『チートコード』がまだなかった頃の世界で異世界人が活躍した話もしているのですよね。

 この矛盾が気になって考え込んでしまいました。

 

まだ何かありそうなミミナシ卿

 7巻と、今巻のヒナコとミミナシ卿のやり取りを何回か読み直してみたのですが、やはり、何かが引っかかる気がするのですよね。

 私自身の読解力の問題や、何か勘違いをしている可能性も考えたのですが、やはりすっきり納得のいく答えは見つかりませんでした。

 素直な解釈をするならば、7巻でミミナシ卿が言っていた『チートコード』がまだなかった頃に活躍した『異世界人』という言葉が、転生してきた古代文明人のことを指すのならば矛盾は起きません。

 古代文明人も、ランダムポップの転生者も、この世界にとっては等しく異物だったと考えているのであれば、『異世界人』という言い回しでまとめるのは、ある種のアイロニーとも取れるかもしれません。

 ただ、ヒナコの前でそんなややこしい言い方をするのも不自然な気がするのです。

 とりあえず、アイロニーの可能性以外で、自分が矛盾と感じたものを解消できる仮説を考えてみました。

 

仮説①ランダムポップ以外の異世界召喚説

 「人類が内輪揉めで戦争をした(てをとりあってがんばった)」という回想の1コマは宇宙大戦争を思わせるものだったので、そこで戦死した人々の魂は『地獄(うちゅう)』に堕ちて『天国(ちきゅう)』には戻れず、ベルクソン・ツリーによる転生もできなかったのではないでしょうか。

 仮にできたとしても、また争い始めそうですし。うかつに転生させられません。

 その結果、新天地の植民地支配のための人材が不足していたのではという可能性を考えました。未来の地球に蘇った古代文明人の規模や、人数については作中で言及されていなかったので。

 その人手不足を補うために、有用な知識や、ノウハウ、実績などを持つ過去の人物の召喚が行われていて、それが「『チートコード』を持たない異世界人」だったのではないかという仮説です。

 ミミナシ卿が言っていたのはあくまでも『転生者がランダムに召喚される理由』だったわけですし、それ以前に異世界人が召喚されていなかったとは明言されていません。

 

仮説その②ミミナシ卿が嘘をついた説

 過去にこの世界で行われた古代文明人の罪の歴史と、自業自得の末路についてミミナシ卿が嘘を言っているとは思いません。

 この場面は、当事者であるミミナシ卿の罪の告白でもあり、彼の誠実さや、行動理由が描かれる場面でもあります。そこに嘘や欺瞞があれば興ざめです。

 しかし、その嘘が自分にとって都合の悪い真実の隠ぺいなどではなく、全くそれらと関係のないごく個人的な話をごまかすためのものであったとしたらどうでしょうか。

 3巻・11話で、ヒナコは自分とエイリスの絆のような「心に大切にしまって大事にしないといけないもの」、言葉にした途端に意味が変わってしまうものについて語る場面がありました。

 これと同じような理由で、ミミナシ卿が自分と「誰か」の関係について語るのを避けた結果、言葉にするのを避けた結果、彼が適当な嘘をつき、それが矛盾につながったのではないかという仮説です。

 明確な論拠にはなりませんが、「転生者がランダムに召喚される理由だったね」の前についている「ああそうそう」が何となく誤魔化している風だなとも思いました。

 

 今回ミミナシ卿の行動理由と、物語上での立ち位置については明確になりましたが、まだまだ明かされていない秘密がある気がするのですよね。

 魂から『チートコード』の除去ができる『アンチ・チートコード』は『ハイ・エルフ』たちからすれば、喉から手が出るほど欲しい技術だったでしょう。自分で独自開発したにせよ、誰かから託されたにせよミミナシ卿がそれを持っている理由が気になります。

 魔族の協力があったとしても、他の『ハイ・エルフ』にもできなかったものを独自開発できたのならば、彼は『魂』を取り扱う科学技術の専門家ということになり、ベルクソン・ツリー計画の中核にいたことになるのではないでしょうか。

 誰かに託されたのならば、そこにも物語がありそうですし。

 

 

 回想が終わったと思ったら、いきなり封印されしエイリスと思わしきものが登場。クライマックスへ向けて急展開という印象でしたが、あとがきを読むとここからイチャイチャも加速するらしいので次巻をとても楽しみにしています。

 おまけ漫画で明かされたヒナコの『かみさま』の原点と、どんどん取返しのつかない方へ転がり落ちていくジュンコが目指している目標地点も判明しました。

 相変わらずこの漫画はおまけコーナーでの補完・フォローが完璧です。

 本編でも必要最低限の説明はしていますが、この漫画のおまけページは、なんというか、単行本購入のお得感と言いますか、買って良かった感が凄いのですよね。