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人類を滅亡に追いやる者、それは魔王…ではなく、その秘書 : 魔王の秘書 レビュー

 

タイトル:魔王の秘書

  作者:鴨鍋かもつ

  年代:2017年~

  巻数:既刊1巻

 

あらすじ・概要

 光を呼ぶ勇者と、闇を招く魔王の戦いが繰り返されてきた世界。封印から復活した魔王は世界征服を開始。

 まず手始めとして、敵を知るため、知能の高い人間を攫ってくるように命令を下します。

 しかし、攫ってきた人間の中にとんでもないのが混ざっていました。

 某先進国から攫ってきた国王秘書は魔王にも物怖じせず、その上であっさりと協力を受諾。自ら秘書の地位に付き、魔王軍の改革と世界征服に乗り出すのでした。

 魔王の秘書が有能すぎて、人類滅亡の危機。

 軽いノリで、ところどころブラック。テレビゲームのRPGのお約束を逆手に取りつつ、現代社会も一緒に笑い飛ばすコメディです。

 

有能すぎる秘書が世界を滅ぼす

 この漫画は、魔王と勇者の存在するファンタジー世界が舞台となりますが、世界観にこだわったファンタジーではありません。

 現代の職場や労働環境にまつわる社会問題をはじめ、いろいろな「現代日本あるある」を「ファンタジーRPGあるある」と組み合わせて面白おかしく笑い飛ばす漫画です。

 お話の都合、ゲームの都合と分かっていても、真面目に考えると突っ込まずにはいられない「ファンタジーRPGあるある」を魔王の秘書がテキパキと改革していきます。

 魔王の秘書のプランニングする、どこまでも現実的かつ容赦のない世界征服計画と、それに振り回される人間、魔物、両陣営。

 魔王軍の抱える問題や、秘書の解決手段が、ところどころ現代的で、ファンタジー世界とのミスマッチさが笑いを誘います。

 芸風は一貫していますが、同じようなギャグを繰り返すわけではなく、毎回のお題ごとの現代要素と、ファンタジーRPG要素の組み合わせに、作者の鴨鍋かもつ先生のセンスが光り、ギャグテイストでありながら、細かいところまで書き込まれている絵も笑いを引き立てます。

 自分勝手でいい加減ながら、どこか憎めない魔王様と、丁寧な物腰ながらいつも動じず、敵味方両方に容赦のない敏腕秘書の漫才染みた掛け合いも楽しいです。

 

 

こんな人にオススメです。

  • ファンタジーではなく、ファンタジーRPGあるあるを楽しみたい人。
  • RPGのお約束と、現代日本要素を巧妙に掛け合わせる、ウィットに富んだコメディを見てみたい人。

こんな人にはオススメできません。

  • 世界観にこだわった、真面目なファンタジーが読みたい人。
  • ファンタジーRPGのことがよく分からない人。