※電子書籍版と書籍版で、表紙および一部カラーイラストなどが異なります。上の画像は電子書籍版です。
浮上した子供の養育費問題。人間の世界で子供を育てるには、先立つものが無ければいけないという事で、お嫁ちゃんが本格的に動き出します。狐のお嫁ちゃん3巻の感想です。
お嫁ちゃんのお仕事は…
子作りのためにも、養育費を稼がねばという事で金策を始めたお嫁ちゃん。
お嫁ちゃんが手作りして、念を込めた狐のフェルト人形は、1つ5000円という強気の価格設定ながらも売れ行き好調。「こんぴらさん」の愛称で、地元で有名なお嫁ちゃんの知名度が活きた結果でした。
しかし、フェルト人形の材料はお嫁ちゃんの体毛。作れる数には限りがあります。
人化状態の髪型が大分さっぱりとしてしまったお嫁ちゃんが、次に考えた金策、それは狩猟でした。
と言っても、狐の姿で狩りに出るわけではなく、お嫁ちゃんは人間の社会のルールに則った形で猟師を目指します。
「人間のルールなぞ知らん」ではなくて、苦労しながらも、きちんと人間社会のルールに則るお嫁ちゃんが素敵です。
実際問題として、人間社会での金銭を得るために狩猟をするので、ルールを守る必要はあるわけですが、お嫁ちゃんの努力家ぶりが印象に残りました。
狩猟を始めるにあたっての講習や資格の取得の手順、狩猟関係の細かい法律や、狩猟鳥と非狩猟鳥について等、作中でかなり細かく説明されているので、勉強の大変さがリアルに伝わってきます。
狐なので、試験というものに慣れていないお嫁ちゃんが、試験疲れでフラフラになりながら頑張る様子は応援したくなりました。
猟師のユリさん
今回、お嫁ちゃんがいろいろとお世話になったのが猟師のユリさん。
この人もお嫁ちゃんと旦那さんの隣人たちの例にもれず、なかなか個性的な人です。
2巻の時点で既に登場していましたが、全ケモ状態のお嫁ちゃんにテンションが上がり「ユパ様この子私にくださいな」と言ったり、旦那さんの妹・新芽について「風の谷のナニガシみたいじゃないですか」と発言したり、ジ○リ好きの様でした。
今巻の様子を見ているとジ○リに限らず、自然や動物をテーマに描かれたファンタジーや動物そのものが好きみたいです。やっぱりジ○リは大好物みたいですが。
今巻では大活躍です。
職業としての猟師についての実情や、必要な資格や届け出、まず何をすればいいのかについて説明してくれたり。
全ケモで狩猟中に池に落ちたお嫁ちゃんを保護・旦那さんに連絡したり。
鉄砲店で糸目の若店長にぼったくられそうになったお嫁ちゃんを助けて、物凄く強気の値引き交渉までしたり。
他にもおまけページで解説役を務めたり、お嫁ちゃんが仕留めた鴨の納品先で窓口だったりと本当にあっちこっちで大活躍でした。
それにしても、ユリさんと糸目の若店長の過去に何があったのか気になります。後、ユリさんにお嫁ちゃんの「半ケモ」を見せたらどんな反応をするのか、とても気になります。後者はよっぽどのことが無いと実現しそうにはないですが。
研ぎ澄まされた瞬間の表情
空気銃を手に入れてから初めての狩りに行くエピソードで、マガモに狙いを定めて引き金を引く瞬間のお嫁ちゃんの表情がとても好きです。
単なる冷めたい感情の描写とはまた違う、集中力が研ぎ澄まされた状態の一瞬の冷たさがとてもいい表情で表現されていました。
池に落ちた日に、家に帰ってから旦那さんにしがみ付いて号泣し、2時間泣き止まなかったお嫁ちゃんも好きですが、こういうクールな表情も好きです。
狩猟鳥・非狩猟鳥のエピソードの時の「わらわ少し物知りのつもりじゃったが、まだまだ知らないことが山ほどある、生涯勉強じゃな~」というセリフも300歳越えの化け狐が言うと含蓄があります。
お嫁ちゃんの本籍と住民票は口丹にあることが確認できましたが、取得までの経緯は謎のままでした。
今回は狩猟関係のルールや手続き、さらには狩猟用の銃についての細かい説明や、鴨の解体・調理の話まであったので、狩猟がメインテーマの漫画でも読んでいるような気分になりました。